皆さんこんにちは、北九州市小倉北区の歯医者、ヤマヂ歯科クリニックです。年末年始皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて本日は「部分矯正・長期間の矯正歯科治療例」というテーマでお話したいと思います。
9月の中旬に当院の理事長が、「全顎矯正と部分矯正へのアプローチ」というテーマで母校である九州歯科大学にて矯正歯科や小児歯科の先生を対象に3時間にわたる講演を行いました。同内容で歯科医師向けの書籍も出版しております。
本日お話する内容はその講演の内容の一部を抜粋し、わかりやすく解説したものです。講演の内容は理事長の半世紀にわたる臨床の歴史の中で積み上げてきた矯正歯科の症例紹介がなされており、症例紹介の患者さんも矯正歯科治療後数十年経過後の状態まで追っております。
これから矯正を考えている方への一助になれば幸いです。
部分矯正治療とは
部分矯正治療は、歯全体の矯正を必要とせず、特定の部分に限って行う矯正治療のことです。全体的な歯列不正がある場合に行う「全顎矯正」と異なり、「部分矯正」では、前歯のわずかなズレや奥歯の傾きなど、問題がある部分だけにフォーカスして治療を行います。
歯並びが悪くなる原因はさまざまであり、特定の歯が位置を外れていたり、噛み合わせが悪くなっている場合があります。部分矯正治療は、これらの局所的な問題を解決するためのシンプルなアプローチです。
部分矯正の主な適用ケース
では具体的には部分矯正治療は、どんな症状の方に適しているのかみていきましょう。
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前歯のわずかなズレ:特に前歯が少しだけずれている場合、全体の矯正を行う必要がなく、部分的に歯の位置を修正するだけで大きな効果を得ることができます。
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奥歯の傾き:奥歯が正しい位置にないと、噛み合わせが悪くなり、食べ物をしっかり噛むことが難しくなることがあります。このような場合、奥歯の位置をアップライト(立て直す)することで、噛み合わせを改善します。
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特定の歯の噛み合わせの問題:特定の歯だけが噛み合わせに問題を抱えている場合、その歯だけを矯正することで問題を解決できます。
皆さんの中で上記のような症状に当てはまり、改善したいと思っている方がいれば部分矯正で治療ができるかもしれませんので歯医者さんに確認してみてもよいかもしれません。
部分矯正と全顎矯正の違い
部分矯正は、矯正治療の中でも「軽度な治療」と位置づけられますが、これには全顎矯正と比較していくつかの明確な違いがあります。
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治療の範囲:全顎矯正が口全体の歯並びを改善するのに対し、部分矯正は特定の部分だけを対象とし歯の移動のみで不正を改善します。これにより、患者さんのニーズに合わせたピンポイントの治療が可能です。
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治療期間:全顎矯正が1~2年ほどの長期間を要するのに対し、部分矯正は数か月から1年以内で完了することが多いです。特定の歯だけを動かすため、治療が迅速に進む点が魅力です。
部分矯正治療のメリット
部分矯正治療のメリットとして、以下のような点が挙げられます。
短期間で結果が出やすい
1つ前の章、「全顎矯正と部分矯正の違い」でも述べましたが部分矯正のメリットは、短期間で終わることが多く、忙しい日常生活を送りながらでも治療を進めやすいです。
見た目への影響が少ない
透明なマウスピースや目立たないブラケットを使うことで見た目に配慮しながら治療を進めることができますし、前歯部分の矯正の場合、審美的な要素を重視する方に向いています。
痛みや不快感が少ない
矯正治療では歯が動く際に多少の痛みや不快感が生じることがありますが、部分矯正は動かす歯の範囲が限定されているため、全顎矯正よりも痛みや不快感が軽減されることが多いです。
費用が抑えられる
全体の矯正を行う場合に比べ、部分矯正の方が費用面で負担が少なく済みます。これにより、特定の問題だけを解決したいという方にとって、経済的な負担が軽減されます。
部分矯正治療の適応と治療の流れ
部分矯正治療のプロセスは、基本的には全顎矯正と同様です。以下のステップで進行します。
初診・診断
まず、歯科医師による診断を受け、歯並びや噛み合わせの状態を確認します。患者さんの希望や問題点を踏まえ、部分矯正が適切かどうか判断されます。
治療計画の立案
診断の結果に基づき、部分矯正の具体的な治療計画が立てられます。どの歯をどのように動かすか、また、治療期間や使用する装置についてもこの段階で説明が行われます。
矯正装置の装着
矯正装置(ブラケットやマウスピースなど)を装着し、治療が始まります。定期的に歯科医院を訪れ、装置の調整を行います。
治療の進行
装置を装着した状態で、歯を少しずつ動かしていきます。治療の進行状況は定期的に確認され、必要に応じて調整が行われます。
リテーナー(保定装置)の装着
治療が完了した後、歯の位置を安定させるためにリテーナーを装着します。このリテーナーを使用することで、治療後の歯の後戻りを防ぎます。
メンテナンス
リテーナーを使用しながら、定期的に歯科医院でのチェックを受けます。これにより、治療結果が10年20年経過後も長期間維持されるようにサポートされます。
アップライト
部分矯正治療の中でも特に重要な技術の一つに「アップライト」があります。これは、歯が倒れている状態や角度が悪い場合に、正しい位置に立て直す治療法です。特に奥歯が傾いている場合に適用され、噛み合わせを改善し、全体の歯並びを整えるために役立ちます。
アップライトが必要なケース
歯が傾いたり、倒れてしまう原因にはさまざまな要因があります。例えば、永久歯が生えてこなかったり、歯が抜けたまま放置された場合、周囲の歯がそのスペースに向かって倒れ込んでしまうことがあります。このような状態では、噛み合わせがうまく機能しないため、アップライト治療が必要になります。
アップライトの心得
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アップライトは歯や歯周組織に良い影響を与えます
倒れた歯をアップライトすることで、歯茎や骨の健康状態が改善されます。正しい位置に歯があることで、歯磨きもしやすくなり、歯周病や虫歯の予防にもつながります。 -
アップライトは噛み合わせや顎関節症の改善に役立ちます
歯が正しい位置に戻ることで、噛み合わせのバランスが改善され、顎にかかる負担が軽減されます。これにより、顎関節症の症状が緩和されることがあります。 -
ケースバイケースでアップライトを行う
下の奥歯の半分埋まっている親知らず(智歯)は、ケースによってアップライトすることが有効です。適切な診断のもと、その歯が噛み合わせに参加できるように処置が行われます。 -
歯を近遠心的にアップライトするだけでなく、頬舌的にも動かすことができる
歯は前後に動くだけでなく、左右(頬舌的)にも動かすことができます。これにより、より正確な位置に歯を配置できるようになります。 -
歯科医師はアップライトとともに、歯全体の移動技術を習得すべき
歯の移動にはさまざまな技術が必要です。歯科医師はアップライトだけでなく、歯全体の動きを正しく管理する技術が求められます。
部分矯正治療を受ける際の注意点
部分矯正治療を考えている方は、いくつかの注意点を理解しておくことが大切です。
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専門的な診断が必要
部分矯正が適用できるかどうかは、歯科医師による専門的な診断が必要です。部分矯正だけでは改善できない複雑な歯列不正がある場合、全顎矯正が必要になることもあります。 -
後戻りのリスク
矯正治療後、歯は元の位置に戻ろうとする力が働きます。そのため、治療後もリテーナーを使用して歯の位置を安定させることが重要です。 -
定期的なメンテナンスが必要
部分矯正治療が完了した後も、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることが大切です。これにより、長期的な治療効果が維持されます。
長期間の矯正歯科治療例紹介
ここからいくつか症例の紹介を行います。尚、症例の内容は治療経過数十年後の状態をお示しするため少し古いものをご紹介しております。なかなか治療20年後30年後の状態は見る機会はないおもうので貴重なデータをぜひご覧ください。
患者1:9歳1ヵ月 女の子、初診:1991年5月 主訴: 1 埋伏歯
初診時
の写真です。顎の骨や歯肉の中に埋まってでてこれない状態でした。
治療8か月₋1年経過時
治療経過(治療開始後8か月時から1年時)埋もれているはを矯正歯科治療によって取り出します。
※2024年現在ではより目立たない装置にて矯正治療は可能です。
治療2年2か月経過時
きれいな歯並びに近づいてきます。
治療終了時
とてもきれいな状態ですね。
初診時より30年3か月時
治療終了時と同じ状態を30年後も保てています。
部分矯正のおかげで、子供だった患者さんが40代になっても綺麗な歯並びを維持できています。
矯正終了後30年経過しても歯並びを維持できているのは、専門医による的確な治療計画と患者さんが矯正装置を外した後もリテーナーなどをしっかり行い、定期的にメンテナンスで来院されているためです。
初診時 治療終了30年後
患者2:28歳男性、初診:1984年8月 主訴: 奥歯で噛みずらい・歯並び
次に紹介するのはアップライトの症例です。こちらも最初患者さんは「奥歯で噛みずらい」「歯並びを治したい」といった主訴で来院されており、治療後30年以上経過しておりますがきれいな状態を保てております。
初診時
下の歯と上の前歯が、がたがたしていて、部分的に重なっていることから噛みずらい状態が続いていました。
治療1年5か月経過時
治療1年5か月後の状態です。不要な歯を抜歯して、その隣の倒れていた歯をアップライトを行い、正常な位置に戻しております。
治療終了時
治療終了時の歯の状態です。がたがたしていた状態かたとてもきれいな歯並びになりましたね。
治療35年4か月経過後
治療より35年以上経過しております。かみ合わせや歯周組織は安定しておりました。
10代だった男性は、40代近くになっておりますが、とてもきれいな状態を維持しております。
まとめ
本日は9月に当院の理事長が九州歯科大学の矯正の学生を対象に講演を行った内容を一部抜粋してご説明しました。
部分矯正治療は、短期間で特定の歯並びの問題を解決することができる、効果的な治療法です。全顎矯正に比べて治療期間や費用面での負担が少ないため、忙しい方や部分的な歯列不正を改善したい方にとって理想的な治療法です。特に「アップライト」の技術を用いることで、噛み合わせや歯全体の健康を向上させることが可能です。
歯並びや噛み合わせが気になる方は、ぜひ歯科医院で部分矯正治療について相談してみましょう。
北九州市小倉北の歯医者ヤマヂ歯科矯正歯科クリニックでは、日本矯正歯科学会の認定医と臨床指導医が在籍し難しい矯正治療の患者さんでも多くの治療を行ってきた実績があります。
特徴
- マウスピース矯正装置と裏側矯正に自信
- 「選べる」治療法/矯正装置
- 決断しやすい「治療費」
- 開業から「40 年」の信頼と実績
- 矯正の「専門書」を出版
- 「噛み合わせ」を同時に改善
- 「保険適用」の矯正治療(顎変形症・口唇口蓋裂等)
- 「ライフステージ」に合わせた矯正治療
- 「家族で」矯正治療を受けられます
これらの特徴を活かして、患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供しています。
無料相談をお受けしておりますので気になる方は24時間ネット予約にてご予約を取られてください。
山地 晃二郎
ヤマヂ歯科・矯正歯科クリニック 院長
住所 福岡県北九州市小倉北区中井5-4-26
日本矯正歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会
北九州市小倉北区で歯科医院の院長をしています。インプラント治療と矯正治療を得意としています。
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