皆さんこんにちは。暑い日々が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
体調など崩されないようにお気を付けください。
今日は進行した「歯周病の外科的治療」についてお話ししたいと思います。
歯周病の症状が軽度もしくは中等度の患者さんであればスケーリングなどの基本的な治療で対応しますが、歯周病が進行している場合や症状が改善しない場合には、外科的治療が必要となることがあります。
外科的手術って痛いの?
歯周病の外科治療というと皆さんとても痛いのではないかと想像されるのですが、まずは手術の痛みについて、ご説明いたします。
1. 手術中の痛み
歯周病の外科手術(例: 歯周ポケットのかき出しやフラップ手術)では局所麻酔が使用されるため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
2.手術後の痛み
手術後、麻酔が切れると痛みを感じることがありますが、鎮痛剤が処方されるため、痛みは管理可能
です。痛みの程度や持続時間は個人差がありますが、通常は数日から1週間程度で和らぎます。
3. 不快感や腫れ
手術後には不快感や腫れが生じることがありますが、これも鎮痛剤や冷却などで対処できます。
痛みの感じ方や耐性は患者さんの年齢でも異なりますし個人差があるため、不安がある場合は事前にスタッフにご相談ください。
歯周病の外科的治療
では次に外科的治療にはどのような方法があるかについてご説明いたします。
外科的治療は名前の通り、軽度のプラークコントロール等の治療でも改善されなかった、重度の又は進行した歯周病を治療するための外科的アプローチであり、歯周ポケットを浅くし、歯の健康を取り戻すことを目指します。
専門性の高い治療なので、すべての歯科医院で外科手術が受けられるわけではなく、手術室等の設備の整った専門の歯科医師によって行われます。治療前に詳しい説明を受け、納得してから治療を開始することが大切です。
まずは代表的なフラップ手術について詳しく見ていきましょう。
フラップ手術
フラップ手術の詳細についてお話いたします。
1.手術の目的
歯周ポケット内の感染組織や歯石を徹底的に除去することです。
歯根面を清掃して、再び健康な歯周組織が付着できるようにします。
歯周ポケットの深さを減少させて、歯周病の再発を防ぎます。
2.手術の手順
ここから外科的治療の手順を6つのステップに分けてご説明いたします。
局所麻酔
局所麻酔を行い、手術中の痛みを感じないようにします。
歯肉の切開
歯肉を開いて、歯の根元や骨を露出させます。
この切開によって、歯根面や歯周ポケット内を直接確認できるようになります
感染組織の除去
歯の根元や歯周ポケット内のに残っている歯石の病巣を取り除きます。
必要に応じて、歯根面を滑らかにするためのルートプレーニングも行います。
骨の整形
骨の形がなだらかではない場合、滑沢にして平にします。
これにより、歯周組織が再び健康に付着しやすくなります。
縫合
歯肉を元の位置に戻し、縫合して固定します。
縫合は手術部位の安定を図り、早く治癒します。
手術後のケア
手術後には、止血を確認して、口腔内の清潔を保つことが重要であり、抗生物質や鎮痛剤が処方されます。手術後の経過観察やフォローアップで定期的な診察が必要です。
このようにフラップ手術は主に感染組織の除去と歯周ポケットの減少を目的としています。
尚、この手術により、歯周病の進行を抑えることができますが、対処療法がメインであり、失われた骨や歯周組織の再生はできません。他方、外科的治療には他の方法もございます。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、フラップ手術では改善されない進行した歯周病の患者さんにおいて、損なわれた歯周組織(歯茎や骨など)を再生させる先進的な治療法です。
歯周病が進行すると、あごの骨を溶かします。歯を支えている骨が溶けることで、歯がグラグラしてきます。症状がここまで進むと「抜歯」を宣告されることが多いのですが、歯周組織再生療法によりあごの骨の再生を目指します。骨が再生すれば、抜歯は必要ありません。
この治療が向いている方は、一部の歯に深い歯周ポケットがあり従来の治療では改善が難しい患者さん、抜歯をできるだけしたくない方、歯周の状態を良くしてして歯をできる限り長持ちさせたい方が向いているといえます。
歯周組織再生療法は次のような方法がありますので見ていきましょう。
1. 骨移植
人工骨またはご自身の骨を、あごの骨が失われた部分に移植する治療法です。
ご自身の骨を使う場合は、治療する歯の周囲から骨を採取します。
2. エムドゲイン
エムドゲインは、あごの骨が失われた部分に特殊な薬剤を塗ることで、骨の再生を促す治療法です。個人差はありますが、数ヶ月~1年程度で骨は再生します。
主成分:
エムドゲイン・ゲルの主成分は「アメロジェニン」という珍しい名前のタンパク質で構成されます。ゲルにはアメロジェニンやその他のタンパク質が含まれており、これらが協力して血管、歯茎や骨の再生を促進します。手術手順は先ほどのフラップ手術でお示しした通りですが、エムドゲインの場合は、図5で示している通り、最後にゲルを被せてから縫合を行います。
歴史:
エムドゲイン・ゲルを用いた歯周組織再生療法は、20年ほどの臨床応用の歴史があり、さまざまな再生材料が次々と登場する中で、依然として世界的にシェアを誇っており、多くの臨床歯科医師から支持されています。
安全性:
様々な文献にて安全性が高く評価されております。我が国では2002年には厚生労働省での承認を得ており、現在は世界40か国以上で使用されており、高い臨床実績と安全性を誇っております。
3. リグロス(保険適用)
リグロスは、骨の細胞の増殖を促す薬剤です。2016年から日本でも保険が適用されるようになりましたので、患者さんのご負担も小さくなります。だいたい数カ月から1年程度かけて、組織が再生されます。
歯周組織再生療法にも色々なアプローチがございますが、当院で大切にしているのは的確な診断です。進行した歯周病の診断には専門知識が必要で、個々の患者さんの状態によっても治療方法は異なります。検査を実施し、適切な診断を行った上でお口の状態に合わせて最適な治療方法を提案いたします。
手術後の注意事項
ここまで外科的手術の流れについてイメージできたでしょうか。続いて手術後、自宅ではどのような点に注意して日常生活を送ればよいのでしょうか。
1. 口腔内を清潔に:
手術後は、縫合や歯周パックの部位のブラッシングは避けます。 手術部位を清潔に保つため、特 別な洗口液や柔らかい歯ブラシを使用します。
2. 飲食の制限:
手術直後は、硬い食べ物や刺激物を避け、柔らかい食事を摂るようにします。
3. 痛みと腫れ:
手術後に痛みや腫れが生じる場合、処方された鎮痛剤や冷却などで対処します。
4. 禁煙:
喫煙は治癒を遅らせるため、手術後は禁煙がのぞましいです
当院の歯周病外科的治療件数
歯周病の外科的治療は高い技術を必要とする治療法ですが、当院では年間100件近くの手術実績がございます。これは大学病院ではない一般の歯科医院では件数が多い方だと思います。
特に組織再生療法は、手術適応となるような患者様を判断するのが難しいと言われておりますが、専門医師が事前にしっかりと検査・診断をおこなった上で安心して治療を受けていただくように努めてまいりますので、治療を受ける上で心配な点はご相談ください。
手術件数 | フラップ手術/歯周組織再生療法 |
2024年(7月まで) | 8件/月(平均) |
2023年 | 7件/月(平均) |
2022年 | 7件/月(平均) |
歯周治療は保険適用か
歯周外科治療は保険適用かどうかについてご説明いたします。
1. 軽度から中等度の歯周病
スケーリング、ルートプレーニング、歯周ポケットの掻爬(そうは;かき出すこと)などといった基本治療は保険適用となります。
2. 進行した歯周病
症状が改善しない場合や進行した歯周病に対する外科的治療(フラップ手術など)や歯周組織再生療法の「リグロス」も保険適用となります。ただし、治療内容や歯周病の進行度によって適用範囲が異なることがあります。
歯周病治療の費用
実際にどれくらい費用がかかるのか、目安についてご説明いたします。
当院は「専門的な治療を自分にも家族にも」といううモットーもと治療を行っており、なるべく保険を利用し料金を抑えて、最適な治療が出来るように努めております。尚、以下はあくまでも金額の目安であり、金額の詳細や何の治療法が適応になるかについては患者さん個々の歯周病の進行具合によって異なります。
検査/手術名 | 金額目安 | 保険/自費 |
歯周病検査 | 約2千円/回 |
保険 |
歯周基本治療 |
計4〜6回、 約1万円 |
保険 |
フラップ手術 | 約1万円/回 | 保険 |
歯周病 組織再生療法 |
約3万円/回 |
保険/自費 |
※適応の保険は3割負担の場合
当院にはカウンセリングルームもございますので費用に関する事でもお気軽にご相談ください。
歯周病の「完治」とは?
「歯周病を治す」ということは、目の前の症状を一時的に改善することではありません。患者さんのお口の状況を改善し、その状態をずっと維持していただいて、初めて「治った」といえます。
私たちはそのための努力を惜しみませんが、ここでの「治った」を達成するためには患者さんの協力が不可欠です。 そのためには、ご自宅でも毎日の歯みがきをはじめとするお口のケアや、治療後も定期的に歯科医院でお口のメンテナンスを続けていただく必要があります。
歯周病は「生活習慣病」です。歯科医院でいくら治療をしても、歯周病を引き起こした生活習慣を改善することができなければ、再発の危険性は残ります。以下の病気をお持ちの方はしっかり定期健診でコントロールをしていることが大切です。
- 糖尿病
- アルツハイマー病
- 脳卒中
- 狭心症
- 心筋梗塞など
全身の健康を守るためにも、「また悪くなったら、その時にまた治療すればいい」という考えではなく一緒に歯周病が治った状態を維持して、健康な歯を保ちましょう!
まとめ
今日は歯周病外科的治療についてご説明しました。
フラップ手術やエムドゲインを用いた歯周組織再生療法などの選択肢があり、手術で徹底的に原因となる歯石等を除去し、その後の適切なケアと定期的な歯科検診が、歯周病を再発させないためにも重要です。
当院では外科的治療にも対応した手術室を完備しており、小さいお子様からお年を召した患者様まで幅広い世代の方に安心して手術を受けていただくための設備を兼ね備えております。
院長は矯正の認定医の傍ら歯周病にも精通しており、歯周外科治療についても、講演の経験がございます。理事長は、左記の矯正の臨床指導医かつ歯周病専門医であり、矯正&歯周病のエキスパートです。
その他の歯科医師も定期的な勉強会の開催や複雑な治療法についても日々鍛錬を重ねておりますので、治療を受ける上での心配な事などございましたらお気兼ねなくご相談ください。
北九州市小倉北区の歯医者ヤマヂ歯科矯正歯科クリニックでは日本歯周病学会の専門医のDr.が在籍し、多くの治療を行ってきた実績があります。
特徴
- 歯周病専門医による診察
- 最新の治療技術
- 痛みの少ない治療
- 個別カウンセリング
- 高度な診断機器
- アフターケアの充実・再発防止
- 交通アクセス良好・駐車場完備
- 柔軟な予約システム・24時間WEB予約やLINE予約が可能
- 子供から大人まで家族で通えるクリニック
これらの特徴を活かして、患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供しています。
相談をお受けしておりますので気になる方は24時間ネット予約にてご予約を取られてください。
山地晃二郎
ヤマヂ歯科・矯正歯科クリニック 院長
住所 福岡県北九州市小倉北区中井5-4-26
日本矯正歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯周病学会
北九州市小倉北区で歯科医院の院長をしています。インプラント治療と矯正治療を得意としています。
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